必殺技

彼は怒り狂っていた。既に我を忘れていたのだ。
左手で右腕を掴むと、不気味な笑みを浮かべた。
次の瞬間、彼の身体から押し付けられるような力が発せられた。その力の波は、まるで、壁のように周囲に広がり、そして消えうせた。
残された一瞬の静寂は、すぐに私の恐怖でかき消された。こわばる私の身体とは裏腹に、彼の身体からは見当もつかないほどの大きなエネルギーが感じられる。
一瞬、彼の顔がほころんだ気がした。が、それもつかの間であった。私は、彼の発する強い光で目を開けていられなくなったからだ。私は、目を閉じてかがみ込んでいたが、その間にも何枚かの力の壁が私の頭上を横切った気がした。
そして、轟音が響き渡った後、あの失われた静寂が広がっているように感じた。
私は恐る恐る目を開けた。
彼の手には私を倒すのに十分すぎるエネルギーの塊が見受けられた。

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